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古都の夜

2022/01/09 19:48:27

 とても素敵な夜でした。
 高層階から見下ろす夜の街は、賑々しい派手さはないのですが、光と影が見事に調和した素晴らしいものでした。
輝くイルミネーション、新年を祝う活気ある夜の街のサイン。その反対側を見ると日常のくらしの気配。
そんな明るい光の街とこれから眠りにつこうとする街、2つの相反する街のトーンをうまく融合させるかのような川の流れは、沈黙を守りながらただそこにじっと佇んで時を見つめているようでした。
 明と暗が川を挟んで融け合うように馴染むこの柔らかさには、独特なものを感じました。

 眼下に広がるこのしっとりとしたロケーションは、やはり古都ならではのものなのでしょう。
いつもなら、このなかに自分も歩いているかもしれないと思うと、それを上から見下ろすのはかなり気分のよいものでした。
こんな優越感を覚える時には、やはりワインです。
ゆっくりと時を刻みながら、白から赤へ。
その情熱的で深みのあるワインレッドのグラスに、今この瞬間が映し出されていることをとてもロマンチックに感じました。

 しばらくすると照明がダウンして、同じステージがレストランからバーへと変わりました。
同じ場所なのに、照明の調整だけでこんなにも雰囲気が変わることに驚きを隠せませんでした。
この薄暗い世界には、鮮やかな色のカクテルがよく似合います。
夜の夢を語るのは、やはりテキーラでしょう。
テキーラは、ご存じのようにメキシコ原産のとても強いお酒です。
その濃厚な味わいには、柑橘系の爽やかさ、そしてリキュールの甘さというピュアなエッセンスがとてもよく合います。

 注文したのは、マルガリータ…。
キラキラ輝くような乳白色は、ついつい飲み過ぎてしまう小悪魔的なカクテルです。
そして、亡くなった彼女を偲んで創られたカクテルでもあるそうです。
彼女の名前は、マルガリータ…。
その名が今も世界中で愛され生き続けているということに、愛の深さを感じずにはいられませんでした。
 そんなエピソードもあるせいか、マルガリータのカクテル言葉は「無言の愛」です。

 「無言の愛」のような色気はありませんが、私は縁に飾ってある塩が気に入っています。
一口いただく時の塩の加減で味わいが変化するところも、マルガリータの魅力のひとつだと思っています。
 テキーラな夜に、マルガリータの愛に、乾杯!